公的年金の仕組みを知っておこう

年金

公的年金の種類は大きく分けて国民年金厚生年金(旧共済年金・旧船員保険を含む)に分けられますが、その仕組みを知っておくことは重要です。年金保険料を支払うことで以下の3つの年金の権利を得ることができます。

1. 老齢年金が原則65歳以降(60歳から繰上受給は可能)に支給される
2. 加入期間内に病気や怪我で障害を負った場合に障害年金が支給される
3. 加入期間内に死亡した際に遺族に遺族年金が支給される

通常は老齢年金のみについて「損得」の話が出てきますが、障害年金や遺族年金の権利(生命保険・傷害保険の機能)も非常に重要です。公的年金は「国民の義務」ではなく、「国民の権利」と捉えた方が良いでしょう。

【2022年改正のポイント】2022年4月の制度改正により、繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられ(従来70歳)、最大84%の増額が可能になりました。また繰上げ受給の減額率も、1962年4月2日以降生まれの方は月0.5%から月0.4%に緩和されています。受給開始時期は60歳〜75歳の間で柔軟に選択できる時代となっています。

国民年金と厚生年金の違い

公的年金は「2階建て構造」になっています。

  • 1階:国民年金(基礎年金)…20〜60歳のすべての国民が加入義務あり。40年(480ヶ月)満額納付で、2024年度の満額は月約6.8万円(年81.6万円)
  • 2階:厚生年金…会社員・公務員が国民年金に上乗せで加入。給与・勤続年数に応じて受給額が決まる。平均的な会社員は月14〜15万円程度

会社員の場合、厚生年金保険料の半分は会社が負担してくれます。これは実質的に「会社が老後の生活資金を半分出してくれている」ことと同じです。この価値は非常に大きく、自営業者(国民年金のみ)とは大きな差があります。

自分の年金見込み額を確認する方法

年金の見込み受給額は「ねんきんネット」(日本年金機構のオンラインサービス)で確認できます。マイナポータルと連携すれば、将来の見込み額が詳しく試算できます。

  • ねんきんネット:https://www.nenkin.go.jp/n_net/
  • 35歳・45歳・55歳時点で届く「ねんきん定期便」(ハガキ)でも確認可能

FIREを検討する場合、「年金受給開始までの期間に必要な生活資金」を自分で賄う必要があります。年金受給開始(65歳)まで何年あるかを逆算し、その期間の生活費を投資資産でカバーする計画を立てましょう。

年金の繰下げ受給で受給額を増やす

公的年金は受け取り開始年齢を65歳より遅らせる(繰下げ受給)と、受給額が増えます。繰下げ1ヶ月あたり0.7%増額され、最大75歳まで繰下げると+84%になります。

  • 65歳受給開始:月15万円(基準)
  • 70歳に繰下げ(60ヶ月):月15万円 × 1.42 = 約21.3万円
  • 75歳に繰下げ(120ヶ月):月15万円 × 1.84 = 約27.6万円

ただし早く亡くなると損になる可能性もあります。元を取る「損益分岐点」は65歳受給と比較して約12年後(受給から12年経過した年齢)になることが多いです。健康状態・資産状況・生活費のバランスを見て判断しましょう。

FIREと公的年金の組み合わせ戦略

FIREを目指す場合でも、公的年金は重要な「安全網」です。たとえば55歳でFIREした場合、65歳までの10年間は年金がないため、投資資産から生活費を賄う必要があります。しかし65歳以降は年金が受給されるため、それ以降に必要な投資資産の取り崩し額が大幅に減ります。

つまり「FIREに必要な資産額は年金受給後を考慮すると、生涯ではそれほど多くない」とも言えます。年金をFIRE計画に組み込んで、現実的な必要資産額を計算することが大切です。

まとめ

公的年金は老齢年金だけでなく、障害年金・遺族年金という「保険」の役割も持っています。まずはねんきんネットで自分の見込み受給額を確認し、FIRE計画に組み込みましょう。繰下げ受給を活用すれば受給額を増やすことも可能です。公的年金を土台にしつつ、iDeCo・新NISAで自助努力の資産を積み上げることが、会社員のFIREへの王道です。

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